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Dec 8, 2020

高齢者施設における虐待・身体拘束対応研修

令和2年11月26日に、『高齢者施設における虐待・身体拘束対応研修』へ参加してきました。

午前中は、岐阜県介護研修センターの村上望先生により講義がありました。午後からは、高齢者虐待の事例検討を参加者の方と一緒に考えました。

正式名称の『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』には、認知症介護は大変ということから介護側を支援しようとする考え方が盛り込まれていることを恥ずかしながら講義が始まり、こんなところからの身体拘束委員としてのスタートで申し訳ないという気持ちから更に講義への集中力が高まりました。そして、またまた自分の知識のなさを痛感するお話がありました。それは、「高齢者に危険が生じているおそれがあると認められる場合には、その高齢者を一時的に保護する」このことは分かっていましたが、保護は高齢者のためではなく養護者のために保護するとお話があった際に、自分の考えと180度の違いで驚きでした。今までは、高齢者を保護しないといけないという思いのウエートが数十倍も重い状態でした。デイサービスで働きながら家族の方と利用者様の関係が良好のまま続くように自分なりに配慮してきましたが、養護者(介護する側)のことを考えず『悪いことは悪い』というのが正直な考え方でした。しかし、高齢者虐待防止法は、「高齢者の虐待を防止するとともに、養護者も支援する」ことをうたっている法律であること。虐待に関しての犯人捜しをするのではなく、いかに虐待を受けている高齢者や虐待をしている介護者に対し、手をさしのべ援助していくかが重要であることを教えてもらいました。虐待者との話し合いをする時や面接の際には責めることはせず、「大変な介護を一人で続けてきて、お疲れではないですか。あなたの健康状態もとても心配、これから一緒に考えていきましょう。」と、あなたは1人ではない、ということを伝え支援していくことは、正直考えたことがなかったので大変勉強になりました。施設の職員の指導も、これまでは行為を責め立てることばかりでしたが、職員に手を差しのべて話を聞いてあげながら指導も行っていきたいと思いました。しかし、虐待は何をしてもよいという訳ではなく、虐待という行為が犯罪に当てはまるのは当然、暴行罪、傷害罪、横領罪、など犯罪として罰せられることは理解しています。最悪な結果を招かないように、虐待と思われる行為や不適切なケアを発見した場合は、その場で職員に話せるようなシステムの構築。そして見てみぬ振りをするのではなく、上司や管理者に相談・報告しやすい環境づくりを行うこと。正直、施設でのケアを振り返った際に不十分だと感じました。正しくないケアが行われても、指摘されることなく過ぎていることが多いと思いました。何かしらに気が付いている方も気が付いていない振りをしていることもあるのではと思いました。どうして、そう思えるかと言うと、まさに自分自身がそう感じる部分が多くあるため。他のフロアの職員の方までに話すことまでは出来ていません。上司や管理者に相談・報告だけではなく、自分自身が虐待と思われる行為や不適切なケアを行った場合も早期に上司に報告するシステムを作っておくことは大事なことと思います。しかし、現場で自分達の介護に対するプライドを持っていなければ、このようなことは絶対に出来ないと感じました。いい加減な気持ちではなくても、「私には関係ないから、別にいいや。」と過ぎていくことが多くなってしまいシステムの構築は難しいと感じました。まとめに村下先生が、「介護(福祉)職の仕事は言い換えれば、人権擁護である」と話されました。ただケアするのではなく、この言葉を理解してケアに臨むことで仕事に対する意識の変化が見られるのではないかと感じました。

高齢者虐待では、認知症の説明と事例を用いて分かりやすく説明してもらえました。認知症の特徴を理解して、認知症の人の立場になって先生が少し大げさにお話をされることで、具体的で楽しく学べました。今まで受けてきた講義や研修でも同じように言われてきたように、認知症を伴う行動・周辺症状の対応としては、否定しない・褒める・役割を持つ・説得しない、つまり安心させること。対策としては、中核症状の時点で、しっかり受け入れることで周辺症状を防げる。介護の環境、ケアの方法を変えることで周辺症状が改善されること。1秒で40年前に戻られてしまう方や見えないものが見える方は、見えているから何回も同じことを言われるのは当たり前ということを頭に入れて介護者はドラマを演じることも対応として必要であることも学ぶことができました。現場で直接介護していると分かっていても簡単には出来ないなと感じました。しかし、認知症の方に、いろいろなことを直そうとして、指示や指摘をしても全く伝わらない。しかし、怒った表情や励ますこと、願望を言うことが叱られたと思ってしまう。認知症になっても「相手が幸せか幸せでないか」を読み取る能力は最後まで衰えない。介護や仕事で疲れて、笑顔が失ってくると介護される人もそれを感じて不愉快になる。すべてを解決する手段は、笑顔と褒めることであるとお話があり、副施設長に普段から言われることと同じだと感じながら共感してお話を聞くことが出来ました。

今回の研修に参加させてもらい、本当に参加して良かったと思える研修でした。村下先生は、事例を通じて分かりやすくお話をされるので、楽しく学ぶことが出来ました。そのことによって、初心に戻れた感じがありケアに対して意欲が湧いてきました。これからは、身体拘束委員として施設の職員全員が正しいケアが行えるような活動を行っていきます。また、来年度は部下にも参加を勧めていきたいと思います。

北島 賢治