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Oct 25, 2016

平成28年度科学的介護スキルアップ研修会報告書

平成28年10月19日(水)~10月20日(木)の2日間にわたり、全国老人福祉施設協議会主催の「死ぬまで生きる看取り実践セミナー」に参加させていただきました。私は、今回のような研修会に参加させていただくのは、初めてのことでした。今回のテーマは『終末期を生きる人と、支える地域の視点から「看取り」を考える』という内容でした。

1日目は2つの講演があり、 1つ目は佐々木淳氏による「領域を超えた新たな支援体制の構築と尊厳ある看取りの現実」でした。

人は、歳を重ねることで老衰していき、それを完治させることは出来ない。そのため、老衰を治すと考えるのではなく、どう付き合っていくのかを考える事が大切となる。老衰が進むことによって薬で治療している方は薬で薬によって弱ってしまうことが多い。その影響によって40%の高齢者がふらつきを感じ転倒を繰り返している。ほとんどの場合、病気ごとに診ている医師が多く、薬がどんどん多くなってしまう。そのため、病気の治療を医師に任せるだけでなく、その人を支えていく中で何が大切なのか必要となる部分を見分ける事が大切となる。高齢になり一番気をつけなくてはいけないことは低栄養にならない事である。低栄養になってしまうことで、負のスパイラルが起きてしまい、生存率がかなり低下してしまう。人は、口を使わなくなる事で、食事以外ののどの機能も低下してしまう。そのことで誤嚥を起こしやすくなってしまう。食べる事は生きる意欲につながるため、口から食べるということはとても大切なことである。誤嚥を恐れ食事を制限するのではなく、口腔清掃や嚥下リハビリをといった口腔ケアを大切にしていく必要である。「看取り」とは、その人が幸せに過ごす為にどこまでの医療が必要なのか考え、これ以上治療を続けても幸せに過ごせないと感じたとき、あとは生命力でどれだけ生きて行けるかを考える事である。終末期医療の目的とは、病気の治療ではなく、本人と家族の幸せにつなげる事である。医療を取り入れることでメリットをもたらすとは限らないため、何もしないという選択をすることも大切となる。その大切な選択をするために、家族など周りの自己満足ではなく、本人の望むことは何なのか、本人の価値観を反映していき周りのみんなで勇気ある選択をすることも大切となってくる。本人と家族の両者ともが納得いく終末期を迎えるために、縁起でもない事ではあるが、「もしもの時」どうするのか話し合っておくことも大切である。私たちは死に方を選ぶことは出来ない。どのようにすること最期まで満足した生き方ができるかそれを一緒に考えサポートしていく役割であるということを意識していく必要がある。

以上の事をこの講演で学びました。

2つ目は、木村光希氏による『看取りの後に私たちができること』でした。この講演は納棺士の方によって行われ、私たちも行う事が出来る亡くなった方に対して行うエンゼルケアについて学んだ。エンゼルケアを行うに当たって最も重点的に行うといいことは、おむつ交換である。それに次いで大切なことは肌全体の保湿である。人がなくなると体から水分が抜けていってしまい、時間が経つにつれてひどく乾燥し修復することにかなりの時間がかかってしまう。そのため、できるだけ早いうちから保湿を行い、できるだけ乾燥しないようにすることが大切である。入居施設などで亡くなった場合、グリーフケアを行う必要があるのは、家族の方だけでなく、その方の生活に関わった職員や入居者様といった方の心のケアも大切である。施設で亡くなった場合の送り出し方にも亡くなった方とのお別れのときが実感できるように、施設でのお別れの仕方の工夫をするといい。その方に合わせてゆっくりと時間をかけてお別れをしたり、今は棺桶にメッセージを書くなどして皆でその方の死を受け入れる事も大切である。そして、エンゼルケアの初期処置はなるべく早く行うことがとても重要である。

以上の内容が1日目の研修で学んだことである。

2日目は、シンポジウムがあり、「死ぬまで生きる人と、支える地域の視点から「看取りを考える」という内容でした。

より良い看取りを実現させるためには、施設の職員が一人ひとり看取りの本当の意味を理解していることが大切となる。その方に寄り添ったケアを行う時、本人のニーズの本当の意味は何なのか本人が口にしたニーズから先のことを見出すことが大切となる。本人が口にしたニーズが本当のニーズでなくその先につながることがあるとすれば、そのために最もその方が幸せになる方法があり、私たちはそれを的確に判断しサポートすることが必要となってくる。看取りを行っていく上で、チームを作る場合にはその方に今まで関わってきた者たちでチームを作ることがとても大切である。その際にはそれぞれの職種が同じ位置で物事を考えるのではなく、あえて自分の職種の特徴を生かす必要がある。それによって、それぞれの視点で充実した支援を行う事が出来る。看取りとは、亡くなった日から数日をさかのぼったものではない。人の人生一部として考え、その方を支えること。介護は生きること、生活を支えるプロになることが大切であると学んだ。

私は現在、デイサービスに所属し、直接入居者様の死に関わることはできていない。しかし看取りといった観点では、在宅で過ごしてみえる方でも、いつ迎えるものか分からない。そのため、その方がいかに幸せに最後まで過ごしていただけるのか。ターミナルを迎えた方に対して家族や本人の思いを把握し職員間で共有することで関係者全員が同じ思いで本人と関わりを持って関わりを持てるようにしていきたい。