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Apr 19, 2017

日本生活支援学会第9回全国大会

日本生活支援学会第9回全国大会  (新潟県)     服部敬充

4月15日、新潟県新潟市で行われた日本生活支援学会の全国大会において、研究発表に参加しました。私は、「水分摂取は生活を変える~委員会活動を通して~」というテーマで、実践発表を行いました。そこで学んだことを報告します。

第9回大会テーマは「生活支援の専門性を問う」であり、福祉職従事者や教育、研究者が「生活支援」「地域で支える暮らし・生活のあり方」をどのように展開するのか、後継者育成に向けてどのように「生活支援」を伝えていくのかを考えていく内容であった。私の実践発表も含め、8人の研究発表が行われ、発表演題は多岐にわたり、興味深く拝聴することができた。科学的介護といわれるように、介護福祉の専門性を考えるうえで、エビデンス(根拠)をもった支援は大切な要素である。質疑応答においても、そのことに関するものが多かったように思う。私の時はどんな質問が来るのだろうと、内心とてもドキドキでした。足が震えるほど緊張したが、なんとか乗り切ることができて、ほっとしました。施設職員に関する内容もあった。一つの発表では、「介護職員が不足している現状があり、その要因として、介護職員として入職する希望者が減少していること、定着率が悪いことなどがある。また、離職の背景には、介護職のさまざまな精神的・身体的ストレスがある」との指摘があった。会長の黒澤は、「ストレスに対処するのは、個人では限界がある。働く集団のマネジメントが必要である」と述べられていた。そこで、職員が働きやすい環境をつくっていくために、「チーム全体の問題として職員間で情報を共有すること」「利用者のニーズを汲みとることのできる体制づくり」「お互いの意思疎通ができるシステム」が大切であると感じた。もう一つの発表では、仕事を続けていくための要因として、「職場の人間関係が影響を与えていた」との主張があり、他者とのつながりは生活支援では重要なキーワードと考えられる。そして、「自分自身の成長だけでなく、他の職員を含む関係の成長への期待と取り組みの重要性」が述べられていた。会長の黒澤は「個別性のおくに、普遍性があるのではないか。追体験は重要である。集まったら、妥当性が出るものではない」と総評されていた。「自分を知らなきゃ話にならなかった」という職員のインタビュー内容から、私たち介護職は自己覚知が絶対的に必要なものであると感じた。他者理解には、まずは自己覚知が必要である。人によって価値観はさまざまであるが、自分と違う価値観をもった人を否定し排除してしまっては、人間関係は成り立たない。しかし、人は、自分の思い、感情、考え方など、自分自身の捉え方でしか、他者を捉えることができない。自分自身の価値観、現在の状態、感情、考え方を知った上で、対象者に接していくことが大切であると思う。

会長の黒澤は魅力ある福祉のためにという題目で、次のように述べている。介護職が大切にすべき視点であると思い、ここに紹介しておく。

「いつの時代にあっても、人は老い、心身の障害を担って生きている。そして人はどのような状況下にあっても、それらを克服して幸せな生活・人生を求めている。」

介護職は、入居者が抱えている課題を把握し、それに挑戦して、克服できるように生活を支援することが専門性であると、私は解釈している。

「介護福祉は人間関係を基盤として展開される。すなわち関係とは、介護職と利用者との個別の人間が、私の『ここ』と利用者の『ここ』という共通の生活の場にいる。それは自然状態の世界ではなく、何らかの意味を共有する生活世界なのである。……利用者が現在の生活状況を認識し、さらにそれを克服するために介護サービスを利用する意思は、介護職と相互に理解し合わなければならない。そして明日へ向かって、よりよい生活を目指すことへの理念が共有されるのである。そして介護サービスは、あくまでも利用者の主体的な活動が期待されなければならない。」

私が働いている施設は、仕事の場ではなく、介護職と入居者が共に生活する場である。その場を共有しているからこそ、相互が状況を認識し、理解し合いながら生活をしていかなければならない。介護職は、入居者の主体性を忘れてはならず、自己選択・自己決定する活動を支援していくことが専門性であると、私は解釈している。そのうえで、「月1回アクティビティを開催する」ことを目標に今年度は取り組んでいきたい。