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Nov 22, 2022

岐阜県老人福祉協議会 西濃支部 栄養士・調理員部会zoom研修

岐阜県老人福祉協議会 西濃支部 栄養士・調理員部会zoom研修に参加しましたので以下研修報告を掲載します。

 

●食事・栄養管理係長 若園貴宣

  • 研修名 令和4年度岐阜県社会福祉施設協議会西濃支部栄養士・調理師部会研修会
  • 日時  令和4年11月18日(金)10時~12時30分
  • 場所  当施設にてパソコンによるリモート研修
  • 内容  ・講師による講演  ・他施設との意見交換会
  • 講演 テーマ「尊厳ある食支援を行うためのスキルと多職種連携」

講師  NPO法人「口から食べる幸せを守る会」 小山珠美 様

研修は2部構成で行われ、最初に講師による講演が行われた。今回のメインテーマとなるものは「人は命の尽きる最後まで好きなものを食べたい、その実現・援護のために私たち介護に携わる者たちが出来ることは何か」を説く内容であったと思う。講師は看護師の方で多くの介護現場や、ご両親も看取った経験から高齢者の死因で多い「誤嚥」について、老衰の過程で当然起きるべきものと捉え、安易に経管栄養や点滴に頼らない「平和死」であることを強調されました。新たに教えていただいた点、興味深い点も多々あったので、それらについて報告します。

①議論できる場を作る。

講師からよく言われたことは、栄養士は「食」に関してイニシアティブ、リーダー権を発揮してほしいというものであった。けれども独りよがりに意見を押し付けるのではなく、多職種のまとめ役として活躍してほしいとのことであった。そもそも議論できない施設は組織そのものが脆弱化しているとの厳しい指摘もあり、会議という形式でなくても日常に互いに議論し合える環境を作ることが職員の個々のスキルアップにつながると言われた。

②認知症のことをよく知る

医学会も日進月歩で、認知症に関するいろいろな研究や、論文も増えてきており、より具体

的な介助方法も提唱されている。常に学習する、新しい知識を得ることに貪欲になってほし

いとのことであった。

③より具体的な食事介助の方法

理想論や抽象的な話ばかりではなく、食の介助における具体的な話も出された。「食べない方」「食欲がない方」と割り切ってしまうのではなく、認知症状が進めば、手の動きも鈍くなることは特にアルツハイマー病では相関が見られるとのことで、「食べられない」ことを「食べたくない」と判断してしまっていないか、単に加齢による動きの鈍さとして捉えていないかと指摘したうえで、できるだけ自立摂取を手助けする段階的な介助の必要性を強調された。

例えば、食事であることを伝える⇒視覚は料理を捉えているか⇒料理を差し出して見てもらう⇒声かけしつつ摂取を促す⇒利き手に器あるいは用具を持たせる⇒用具は使用しやすいか?⇒介助する場合、食事姿勢は適切か?⇒姿勢の傾き、肘、腕、足の位置は?⇒(介助の場合)食事を口まで運び声をかける⇒食事を舌に置く場所は適切か?⇒喉仏の拳上は確認できるか・・といった一連の食事動作に1つ1つ意味があり、その都度介助方法も変化していく。「食べない」のはその動作に何か1つでも問題があるからではないのか?常に疑問に持って食事の様子を観察してほしいとのことであった。今後のミールラウンドをする際は上記の点も参考にしたいと思う。

  • 意見交換会

2部では参加施設同士での意見交換会が行われた。話が出たことは主に3つで

①コロナ禍における施設での食事提供

②栄養ケアマネジメント強化加算について

③看取り期の食事について

であった。

①については、施設内でクラスターが起きた施設も何件かあり、その際の食器の取り扱いについて議論が出た。あるところは施設が使い捨て容器を準備したところもあれば、業者側で準備されたところもあり、費用やそれぞれの施設で考え方も変わるので一概にこういう対応が正しいとまではならなかったが、2次被害を防ぐため、厨房には食器類は持ち込まないことはどの施設も意見が一致していた。

②については当施設も5月から算定を開始しているが、西濃支部の施設も多くの施設で算定を行っているものの、記録に手いっぱい、手探り状態であるといった不安・悩みが多く聞かれた。

③について、法人の考えなどによっても対応は様々で、施設で看取りはせずに病院でという施設も何件かあった。まさに今回の講習に沿った件であったが、やはり1部の人間が判断すべきことではなく、家族や多職種の総意のもとに話し合いや、対応できることが望ましいことで、これが正解との答えもないとのまとめであった。

 

●水谷友香

日時:令和4年11月18日

内容:「尊厳ある食支援を行うためのスキルと多職種連携」(小山珠美先生のご講演)

口から美味しく食事を摂るための食支援は、人生の最後まで食べさせてあげたいという思いや知識や技術が必要で、食べさせる知識技術を身に付けることと包括的支援が大切だと学びました。

・認知症と食事介助

口を開けない、ため込む、飲み込まない、吐き出す、動きが止まる、よそ見をする症状は、脳機能と関係しており、中等度の症状で道具を使って食事を食べることが難しくなることが分かりました。食事介助開始が難しい方は、声かけ、お茶碗を見せて声かけ、スプーンをもって声掛け、食具と器を持っていただく、さらにすくう動作を誘導、口へ運ぶまで誘導、それでも食べられない場合介助を行い、どの部分ができないのかよく観察し支援していくことが必要だと学びました。

・姿勢とテーブルと食具

食べ物をすくうところを見てもらい食べ物の認知を促し、正面で見えやすい位置に食事を置くことが大切だと学びました。また、逆手介助は、顎が上がってしまう、テーブルとからだの距離が離れすぎると前かがみ、食べこぼし、疲れたりしてしまう、適切な食事介助により食べ続ける出来る人は多いことを学び、うまく食べられない原因を対象者の問題だけにせず、適切な介助方法を身に付けることが大切だと学びました。食べられない原因を介助側の問題からも考え、どうしたら安全に食べて頂けるか提案していきたいです。

・多職種連携

今あるチームでどう力を結集するか、必要時に横断的に相談し、連携・共同できる職種を問わず代役が出来るチームとなって、食支援することが大切だと学びました。他職種の職員とどうしたら食べて頂けるか相談や連携し合える関係を築き、入居者様を支援していきたいです。