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Feb 23, 2024

週刊東洋経済の続きです

令和6年2月23日

東京大学名誉教授で社会学者の上野千鶴子先生の記事がインタビューの形で掲載されていました。上野千鶴子先生について、個人的には10年程前に全国社会福祉協議会高齢福祉部会でご一緒させて頂き「端的に物事を判断してしっかりとした意見を言われる方だ。」と言う印象を強く持っていたので、興味深く読ませて頂きました。質問に対する答えに「うんうん」と頷くばかりでしたので、紹介させて頂きます。

(質問)介護事業の中でも最も不利な働き方が訪問介護。その報酬引き下げとは、怒りを通り越してあぜんとした。これではますます働き手がいなくなるだろう。なぜこうなったのでしょう。

(上野先生の答え)報酬の低さが招いた人災だ。そもそも介護保険を施行する当初、訪問介護を「身体介護」と「家事援助」(後に「生活援助」に変更)に分けて価格差をつけたのが問題だった。生活援助の報酬は極端に安くされた。背後には、家事は女がやってきたタダ働きと言う誤った労働観がある。

(私の意見)地域の介護を守るのに不可欠なのが訪問介護です。確かに「家事援助に専門性がいるのか」との問題は昭和38年(1963年)に出来た老人福祉法にまで遡り、在宅介護をしないで公的なものに頼るのを善しとしてこなかった長い歴史があると考えています。その当時の政治家の中には「家での介護は当然」と言い切った方も多くいました。

(質問)人手不足を補うためだとして、国はICT機器を導入する施設の人員配置を緩和しました。

(上野先生の答え)ありえない。現場の介護職員たちは、安全面からこれ以上は人を減らせないと言っている。人件費を減らそうとする経営者や官僚の発想は、現場感覚とは懸け離れていると思う。

(私の意見)ICTを導入したからと言って、人件費の削減につなげるのではなくより密度の濃い寄り添いケアにつなげていくものと、経営者の一人として考えています。

(質問)少子高齢化が進み、保険料をめぐって「高齢者vs若者」という構図が持ち出されます。

(上野先生の答え)若いひとたちに言いたいのは「介護保険が無い時代を考えてみて」と言う事。あなたが親から離れて安心して生活できているのは、介護保険があるから。世代間対立をあおるのは政治家とマスコミ。対立に乗せられてはいけない。

(私の意見)元気な高齢者の中にも「介護保険の利用はしていないので、介護保険料は返して欲しい。」等と言われる方も時にはあります。そんな時は「ご利用になられている方はもっと大変な思いをされていますよ」と答える様にしています。若者にしても、親戚関係にお世話にならなければいけない方がいる事を理解して欲しいし、「いつ介護の世話にならないとも言えない。だからこそ介護保険制度があるのだと思います。」と言う風に考えています。

(質問)介護業界は、医師会や看護協会のような政治力がありません。

(上野先生の答え)ワーカーたちの声が小さい。業界団体もまとまりがない。だから政治力が弱い。福祉の仕事に従事する方々は我慢強く、抗議や批判をしないと言う風潮すらある。私は「あなたがたの地位と処遇の向上を、利用者が代弁することは出来ない」と言い続けている。当事者たちに、もっと声を上げてほしい。

(私の意見)政治力を持たなければ実態に即した処遇を受ける事は出来ない。介護事業に関わる一人一人が『我が事』としてとらえて自分たちの権利を守ると言う気構えを持って欲しいと考えています。私は今『全国介護福祉政治連盟』の幹事長代理の立場で一生懸命に汗をかいていきたいと考えています。